一級建築士事務所 アーキラボ・ティアンドエム
<< September 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< 札幌版次世代住宅基準 のつづき | main | 札幌版次世代住宅基準 のつづき(3) >>
札幌版次世代住宅基準 のつづき(2)
昨日のブログでチラッと触れた「投資回収年数」について。

断熱・気密性能を上げると、工事費は増える分、住んでからのランニングコストは抑えられるので、札幌版次世代住宅基準では増えた分の建設費を何年で回収できるかという試算も出されています。

灯油価格に換算しているのでなんとも微妙ですが、例えば1リットル75円で計算すると、昨日書いた通りベーシックレベルで50年、スタンダードレベルで77年。灯油価格が1リットル150円になったと仮定すると回収年数は半減、それぞれ25年、38年で回収するという計算です。電気やガス使用を想定するとまた違った結果になるとは思いますが、いずれにしても建築後、あっという間に回収できるとは言えません。

先日、住宅を建てるために土地を探している友人から「建物は30年経ったら価値がなくなるけど、土地の価値はゼロにはならないから、売ることも考えてとにかく建物より土地を重視したい」的なことを言われ、建物を提案しているわたしたちは軽く打ちのめされました。

言ってることはすごく分かるんだけど、「じゃあ30年後に売るためにそれまでの30年、寒くて暗い家に住んでもいいの!?」と尋ねましたが、現状、築30年の建物は資産価値がゼロ、建物があっても土地の価格(またはそれ以下)で売買されていますから、そう考えられても仕方がないのかもしれません。

長期優良住宅や今回の札幌版次世代住宅基準では、住宅履歴の保存や評価書を交付することで資産価値の向上が図られています。トップランナーレベルになると回収年数は短く想定して46年、灯油価格が現状のままだとしたら92年ですから1代で回収できるわけもなく、2代3代と受け継がれる100年(200年)住宅として資産価値のあるものという考えが根付かないと普及も進まないでしょう。

補助もそうですが表示制度についても周知されて、設備機器のように簡単に取り替えることができない躯体・壁の中身である断熱・気密性能にお金を掛けることの価値を正当に評価してもらえるようになることを、すごくすごく期待しています。